パーカーを着たまま決意。 part2
父との会話の最後に、僕は3つだけ意見を述べた。
一つ 責任を感じなくていいこと。折れてしまうのは、時間の問題だった。たまたま父だっただけだ。
二つ 僕が必要としてない優しさは、お節介だということ。助けて欲しい時は、言う。
三つ 年金の申請だとか、病院にいつ行くかなど未来の話はしないこと。これが一番堪える。先が見えない、それは物凄く怖い。ただいつもみたいに、何気ない会話をして欲しい。
わがままだ。普通の人達は働いて頑張っているのに、何もないくせに取扱説明書のようなことを言って。本当に、糞みたいな人間だと思う。パーカーの紐を抜いて……なんて考えてしまう。
でも私は言えた。
しっかりと口を使って。目を合わせてなんかは難しいけれど、言えた。
久しぶりに涙を流した自分に、丸をあげたい。まだ僕は大丈夫だと。
思いもよらない号泣で何かが溶けた。
「4つめ、自分で立ち上がるから。辛いときは言うから。時間かかるけど、頑張るから」
こんなこと言うつもりはなかった。
考えたことさえ、驚いている。
父は「仕事をするから」と、リビングに戻った。これでいい。社会のレールを外れた私は、これから先"普通"じゃないとか、負け犬だとかと、レッテルを貼られる。まだまだ立ち向かう勇気はないけれど、待っていて欲しい。パーカーの裾をぐちゃぐちゃにしたまま、そう思った。