2018-09-01から1ヶ月間の記事一覧
おはよう 霞始める鈴の音色 まだ遠くにあった 遠くの方に 手探りながら 夜の群れを 掴み損なって 途端に消える つま先に当たる空き缶の音が この静寂に水を差すけど さよならを置いて 深く夢を見てる 目覚めないように 名前を そっと隠した 朝の日差しと夕日…
また明日 価値観を擦り合わせ 共に生きよう これからも 醜い哀情を抱えながら 勝手口の側で タバコを吹かす 淀んでいく 積み木のように 堆(うずたか)く また熱を持つ 雨を受けて ネオン街で黄昏る まるで世界で一人 不幸であるかのように 口に出すことさえ怯…
テレビの音量。スリッパの擦れる音。誰かの歌声。トラックの地響き。食器のぶつかる音。ドアを閉める音、開ける音。窓の震える音。パソコンから流れる洋楽。フライパンとコンロが叩く音。食材の炒める音。クラッキング。鍵が開く音。トイレの流す音。トイレ…
延べ棒がミルクを飲んで、伸びて伸びて冷えてきました。羽織った浪漫に似たスペインにニンニクをニンニン加え、カツ丼をほうばりました。肩たたきは言いました。 「常滑線、優柔不断、宇宙人」 様々な憶測が奥さんの絵に、唾とカレンダーをかけました。トト…
街から遠く離れた山奥に、一匹の亀が住んでいました。名前は都・ケバン・ジョファー・オルナルド2世。たくましく、健やかに、末永く幸せにと、母が願いを込めてくれた名です。その名に恥じぬよう、切磋琢磨を信条に生きてきました。オルナルドは誰にも迷惑を…
母ちゃんは、いつも帰りが遅い。夜ご飯を食べるときは当たり前、お風呂のときもいない、だいたいテレビを見ているか、ゲームボーイアドバンスをやってるときくらいに帰ってくる。スーパーのビニール袋を持って、よっこらせって。それを冷蔵庫にしまいながら…
路地を曲がると、そこには痩せ型のおじさんが立っていた。黄土色のスーツに身を包み、黄金色の皮膚で日差しを迎えながら、壁にもたれかかっている。あまりにもその場の外観にそぐわない彼は、異国の地から訪ねて来た人ではないか。私の予感は、その彼の足元…