久しぶり。
あそこに置いてあるティッシュ箱の中に、自分の頭蓋骨が包装されていて、取り出してみたまえと声がする。そこに有るのは、見るまでも取り出すまでもなく、それなのだから、僕はここから動かずに、じっと眺めていることにする。
しかし、箱の中を総て理解してしまった僕は、このまま一人で沈黙を守っていくべきか。
そっと、隣に座る彼女に耳打ちをして打ち明けるべきなのだろうか。
内部に秘めた心理的な象徴を理解したような気になっている僕は、外界から遮断された病に陥ったのかもしれない。まるで自身を異星人だと認識する浮遊者のように、世界が変わってしまったと嘆いている。もう僕にとって、互いの違いなど意味を持たないというのに。