軽いうつと引きこもりからの脱出 part1
仕事を辞めて、立ち上がることが出来ない僕は、布団の上を行ったり来たりしていた。
これは、8年前の再来だ。
不登校になって、高校を2ヶ月で行かなくなったあの頃と同じ。未来を考えすぎる、長所なんて存在しないんだと、吐き捨てるあの頃と同じ。単なる家庭ゴミと排泄物製造機になった。このまま引きこもって、人生の幕を自分で閉じて、はいおしまい。そうなると思っていた。
けれど、あの頃と違う点がいくつかあった。
下記に示したものは、実際に父に見せたものだ。いま、読み返してみると非常に読みづらい。そして背中が痒くなる。
「仕事で軽い鬱になっていたのは事実で、もうぼろぼろだったのも事実だ。だけどとどめを刺したのは、親父だ。仕事を辞める覚悟は、お先を真っ暗にした。 でも、なんとか必死で自分で考えた。何かしていないと、駄目になりそうだったから。治験は最適だった。少し落ち着いて、その報酬でキャンプ道具を買って、歩く。終わったあとは、ゆっくりとバイトしていこうと、微かな光を掴み損なわないように、文字通り必死だった。でも、その光は消えた。新しい道しるべを見つける前に消えた。真っ暗になった。すべてどうでもよくなった。やる気はいつの間にか、僕を置いて行った。明らかに自分が背負い切れない不安と心配を、俺に押し付ける形で、軽減した。俺に持たせたんだ。海外徒歩もそうだ。心配を抱え切れないから、行かせないという方法を取った。今思えば、文句ばかり言っていたあの上司も、不安を抱え切れないから、怒りというシステムで昇華してたんだな。聞いているこっちの身にもなれよと思うけど。俺は逃げることも投げ捨てることもできないから、こんな重たい荷物を持っている。小枝にトラックを乗せたらどうなる?もう最後の一本も折れちまったよ」
父に伝えた。口に出して伝えることができないから、書き出したけれど。
伝えることができた。
それだけで十分だった。
おそらく、父は驚いただろう。
息子が意見を伝えるなんて今までなかったから。
8年前の不登校の僕。
頑なに自分の意見を、口を割らなかった自分に伝えたい。
「全然進んでない。アリさんくらいにしか。でもね。ちょっとは立派になったよ。君にはどう映るかな」
布団の中で、そんなことを口にしようとしたけど、ポエミィで気持ち悪いと思われそうだからやめた。