毎日を生きることは、宙を歩くくらい難しい。

両親の離婚に不登校。女性経験なしコミュ症。パワハラで退職。ちょっと鬱。ぐれずにここまでやってきた僕のゆったり日記。ただ稀に薄暗い気分に身を委ね、目が覚めた僕には理解が出来ない文がある。

寝苦しい夜には、

寝苦しい夜には、冷え冷えのタオルを脇に巻いて、窓を全開に開けて、扇風機を強にセットして、やっと準備完了だ。頑丈な強い意志までとはいかないが、小さな石ころくらいの硬さを胸に閉まった。ここからすんなりと夢の世界へ誘われればいいのだが、そうやすやすと連れて行ってはくれない。夏は後半。枕の位置を確認しながら曜日を暗唱する。確か……燃えないゴミを出して、窓から見える観覧車が青い光をつけていたから、今日は水曜日だ。週の折り返しで、まだだと思うのか、もうだと思うのかという心理テストを見た気がする。ゴロンと横向きに寝返りをうちながら、そんな価値観を再確認した。

寝苦しい夜には、大量の水分を摂取してしまう。オレンジジュースにカルピス、十六茶、牛乳、ミキサーで混ぜたように、お腹の中でスムージーになる。胃の中にも味覚を感じる機能があったなら、とても恐ろしい惨劇が待っていると思う。どんなに喉を潤わしても体温は下がらない。お腹が下るだけだと気がついた。そろそろ冷えればいいのに。

寝苦しい夜には、夜中に何度も眼が覚める。下痢の時もあるし、蚊がぷーんぷーんうるさい時もあるし、寝相が悪い弟に、けたぐりをくらって起きる時もある。睡眠は、欲しがる人には舞い降りてくれないのか。真夜中には鬼が出ると教えられたはずなのに、今は普通に目が覚めて布団から躊躇なく出てしまうのだから、大人になったのだろうなぁ。恐怖は無くなったけど、見えないものは見えないままになってしまったなぁ。なぁと語尾を伸ばしてしまうなぁ。まだ寝れそうもないなぁ。そんなんだなぁ。