自分と自分 part3
ときに、自分と言い合うことがある。しかもこいつは私の反対の声を出す。
死にたいと思えば、生きろと言い
生きたいと思えば、死ねと言う。
誰かを憎むと、愛の大切さを説き、
誰かを愛すると、憎むべきは誰かと説く。
喧嘩のふっかけはどちらから、それは何の意味もない。原因がわかったところで解決するのだろうか。燃え盛る家の前で、火種はどこからと議論しているようなものだ。まずはその火を消さなくてはいけない。議論はそれからだ。しかし次々と放火していくこいつと消していく私。このいたちごっこに終わりは見えない。
テレビに映る女性が綺麗だなと思うとき「よく見ろ。テレビ映えしてるだけだ」
不祥事を起こした芸能人に落胆しているとき「彼も大変だったんだ。悩んだことだろう。お前もやりきれない時があるだろう?」
四六時中ではなく気の赴くまま「これ、忘れ物」と言いながら現れる。仕事終わりにふらっとおでんの匂いにつられて来ました。ほろ酔い気分で。そんなフットワークの軽さがこいつにはある。くよくよ立ち止まるようになった私とは真逆だ。よくある漫画の主人公の闇の部分。対峙して退治するよりも、「お前はオレだ」と、受け入れる方がいいらしい。NARUTOやブレイブストーリーで学んだ。BLEACHにも似たような描写があった。
冷やし茶漬けを食べるとき「冷やすなんて外道だな」
パソコン操作では「バックスペースよりデリートを使え」
ものすごく些細なことにも口を出す。実際、どうでもいいはずだが、彼の線引きの基準はなんだろう。これは幻聴でも幻覚でもない。勘違いさせていたら、申し訳ない。ただの思考のスタイルだ。あまりにもパッと出てきて、まるで話しかけられているような感覚なので、このように記載した。
こいつは苦手だ。けれど、憎めないところもある。優しい言葉をかけてくれることもあるから、厄介極まりない。いなくなれや受け入れるというやり方に納得は出来ないが、共存していきたい。
反対の反対は本当なのに、本当の本当は本当だ。ただ、二回も使うと嘘くさくなる。